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Ryuichi Sakamoto Talk & Live 綿雪のねいろ

DAVID BOWIE SPECIAL NIGHT
G3ビルの大きなエレベーターで階上へ、天井の高い空間
ピアノを囲むように立つスピーカーと客席
b.

><

新譜は聴いていない。
1曲目は、async のはじまりの曲 andata (だったはず…

ソラリスのバッハ、カエターノの♪コラサオバガブンド〜で、もうこれは自分のための演奏だ思い込みモードに。
レヴェナント
Ride Ride Ride からの、戦メリ

ピアノの音が内に向いているような こもったような
柔らかく まろい音で、
教授の指が鍵盤を そっと押し込むように弾いている…と思うと、
高音が少し立ち上がって こちらに届いてきたり。
重層的な複雑な音といえばいいのか、
戦メリでは、メロディの向こうに、遠くから風に乗ってかすかに届くカリオンのような響きがきこえたり
チリチリと細かい金属音が風鈴のように 頼りなげに、
でもそうとしかありえないような確からしさで揺れていたり
こんなにそばで聴けていて、ちいさいスペースだからこその
贅沢な調律(というか、プリペアド?)なのだろうか…と思いながら 音を見つめた。

自分はいつも、教授のピアノの音を 水にたとえて思い出そうとしてきた。
こんなふうに

/04の戦メリをきいてみた、…
教授のピアノは、水にたとえると、高い空を飛ぶ氷のかけらのイメージがあったのだが、今回のアルバムのこの曲では森に厚い層をなして満ちる霧。白谷雲水峡あたりの高度と景色かな、いやもっと北方のひろびろと高い樹が立ち並び空に抜けるたいらなブナの森か。
(2004-11-27)

で、
教授は今日のピアノの音を「霧のような」と形容していた。
自分の印象は、綿雪で、その雪は自ら発光する。白熱球のような色のあかりを微かに。




ねむい、ねる。


続き。


ピアノの音は、これまでに聴いたことのないもので、教授もアンコール前に「細工をしてる」「あれ?と思った人もいるでしょ」「霧のような」みたいな形容をされていた。


前に人見記念で聴いたときは、Tangoなどは白い大理石に墨を流すような感じで音が鮮やかに水平に広がっていく、柔らかくも鋭利な音だった。


今回は、内向きな感じで、こもっていて、指は鍵盤を指圧するように押し下げて…。
今思うと、教授の声みたいな、そんな音ともいえる。




4-20
以前はよく、日記を夜中に書いていた。
今はその時間に、ちたーなどで動画をみつめていると、やがて眠ってしまうのだった。
延々と見ていられる…と教授も話していたけれど(設置音楽)ほんとにそうだ。


4/5にワタリウムで聴いたとき、honj の雨の音がとてもよく響いていて、うちのちっちゃいスピーカーとは違うな!…と思ったり、レコードのボーナストラックのプリペアドピアノの音に喜んだりしていた。
感想を書いて貼れる窓があって、
自分が async を最初に聴いたときは、andata があまりにも心に入り込んできてしまい、しばらくそればかり聴いていて、そのブーンという音が、耳元に飛んできたミツバチの羽音のようでもあり、zingaro のチベット僧とのコラボ公演「ルンタ」で聴いたラッパやディジュリドゥの音が思い出されて、焼けたシエナ色のサークルを黙々と駈ける黒馬の姿が浮かんだり、これはヒトが死ぬときに耳の中で鳴る音に違いない…という考えが浮かんだりして、今まで自分が過ごしてきた時間、場面の断片が曲ごとに浮かんできたのだった。
(結局、紙には具体的なことは書けなかった)



David Bowie is の スペシャルナイトで聴いたピアノがそうだったように、async ではプリペアドピアノの音に、はっとする。教授の演奏が終わったあとでピアノの中を覗いたら、フェルトの紐がピアノ線に巡らせてあった。
初めてプリペアドピアノの音を聞いたのは、高橋悠治演奏のJ.ケージのレコードだった。
こんなにチャーミングな音がするものなのかと何度も聴いた。一見調子が外れたように…密やかに…堂々とした、あの音。


次にプリペアドを聞いたのは、勅使川原三郎メランコリア」公演の冒頭に使われていた、アルヴォペルトのタブララサの静かな一節。
これもCDをすぐ手に入れて、狂ったように聴いていた。
鐘の音のような…大好きな音。


そうして今、async を聴いてる。














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